鈍く白ばむ眉がきゅうきゅうとするも冴え凍り一本一本垂れ下がってくる。
立ち昇らないで湯の面にまつわり伝わってくる冴えの湯気が私で凍りつく・
・・・つらら?・・・つまようじ、・・・みたい・
なんとなく、頭を手の平で、軽く、押さえてみた。
パリパリパリッ、パリッ、
長崎皿うどん?・・・だっけ。
あの、とろみ乗っかった固い揚げ麺の中華・・・
あれを箸で押さえつけた感触に音、まんま、違う形で蘇る。
ここは露天風呂。
脱衣所からわずか10メートルくらい石段を降りた所の岩風呂なんですが・
これが、慌てて飛び込めない。
転びの露骨な格好が宙に逞しく浮かぶ。
とてもじやないが、おっかなびっくり・・・
・・・これこそ恥ずかしい、パントマイムである。
今しがた瞬間芸で服を剥ぎ取った気合は何処へやら、
凍った紫煙に肺ん中を洗われつつ・・・
・・・身も心も集中させ、
自分の中で戦わせ。。。
天ぷらに揚げる髪型から、寄り目での・つらら・・・
絶え間なく無邪気な子供の頃に帰れての無心で、遊んでしまう。
私の眉毛が今ところどころ禿げるも群れ立ってんのは、このせいだ。
なんて正に頭寒足熱の心地よさ、
ぬけぬけと昔話に散策する。
自然との一体化を目指して置いた小屋を数日、留守にしていた。
帰る前にと、一風呂、浴びたんです。
10年ぶりだか20年ぶりだかの寒波に襲われた日本列島でした。
標高700前後でも、わたしには御山。
☆
小屋の中は外気より凍りついていた。
なのにファンヒーター、ポンで良いのに、
なぜか・・・できなかった。
→ビール→炭→囲炉裏→かっぽ酒→なにか焼こう→
身体は芯から温まってるから遊び心なんて余裕も持てたんです。
動き出したら、
これ見よがしの窓ガラスに押される雪印な六つの花に気が付く。
こんなにも雪の結晶が大っきいなんて思ってもみなかった。
それでもまだまだ規則正しくも艶やかに育っていく。
ひとつひとつ、まったく異なる姿かたちで咲き誇る。
・・・ピッピッピッ・・・・・ピッピッピッ・・・
音はしないが・・・そう鳴き合わせている。
互いに舐め回すように見合う・・・
しらばっくれてるが私の体温から呼吸さえ・邪魔でしょう。
・・・・・、
そうそう炭だ。
そこまでまったり見とれているほどの温かさは独り身でもあるし、ない。
何時ものように、ずんぐりむっくりした安くて脆いがゆえに火付き良い炭、
穴の空いた切り口をガスコンロの金網の上に並べ立て、点火した。
待っている間、囲炉裏に備長炭も用意する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・ん・・・・・?・・・・・ん・?
コンロの炭から赤い火が見えない・・・なんで?
待っても待っても・・・知らん振り・している。
明かりのせいで見えないだけ。
・分かりづらいんだ、と許す。
手馴れた捌きで五徳の間に収めた。
上に、備長を、すっきりしゃんと乗っけた。
・
・
・
・
・
おかしい。おかしすぎ。
ここまできても、なんにも・・・変わんない。
だいたい、火が点いているのかどうかさえも・・・
さっばり、わからん。
畳みに頬を摺り寄せんばかりにして、よくよく見ると・・・
五徳が置かれた灰を舐め、
上に置いた備長を嘲笑い、
湖の水面に立つ朝霧みたいな薄紫色の紋様、
水に見立てた灰に描いている。
びっくり仰天して見とれている・・・と、
だんだん地吹雪みたいな火炎になってくる。
んで、慌てて、冷たい備長の上にと、乗せ変えたら・・・
・・・炎の道ができたのか、
打ち上げ花火が成功したかの勢い、
炭に火の少なさ小ささの割には大きな音を立て、
下へと噴き出す火柱・
見る見るうちにスペースシャトルみたいに凄い音、
噴射になる。
・・・・・、
・・・そして・・・夏の、
普段の囲炉裏になってくれるのです。
信じられない自然現象でした。
これが夏下冬上の、姿です。
この時、
日本酒はシャーベットになって瓶から出てきてくれず、
食べられなかった。
これが悔やまれて悔やまれてなりません。
いったいどんな味だったんでしょうね。
ちなみに剣菱でした。
☆
成熟していくにつれて親しげに手ほどきする、
うっとり見惚れてしまった白雪の語る口ぶり、
一滴も余分にしゃがみ込まず、
心得と旅立っていたのは、
・・・雪の結晶・
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